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Die Romantische

我ながら我が心をも知らずして また逢ひ見じと誓ひけるかな (清少納言)

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2020-05-30 (Sat)

音楽が言葉を外へ引っ張りだす (映画の話)

 詩を書いていた引きこもりのモリッシーを、ギタリストのジョニー・マーが外へ連れ出した。ザ・スミス The Smiths という1980年代のバンド。鬱々とした歌詞、美しいギター、かっこいいベースラインとドラム。ほんと好き。中学で出会ってから、今でも変わらず好き。憂鬱な気分を、悲しみさえも美しい世界に変えてくれる。 映画『イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語』(2017年イギリス)を観た。バンドの歴史...

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2020-05-17 (Sun)

推しの政治思想が自分と違っても

  もし好きな芸能人やアーティストの政治思想が自分と違ったら、どうしますか。がっかりしますか、腹が立ちますか、政治とは無縁でいてほしいでしょうか。 わたしは、三島由紀夫と平野啓一郎の関係を考えずにはいられません。いわゆる「右」の三島由紀夫の文学と人をとてもよく理解しているのが、いわゆる「左」の平野啓一郎であるという、不思議な現実。 平野は三島文学を敬愛し、彼の人と文学の良き理解者であり、映画『三島...

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2020-05-13 (Wed)

初夏の白桔梗

 日が伸びる。広がる闇に追いやられる。西の空に暮れ残る蒼い空。過ぎた日々のなかでも、忘れたくない出来事に似ている。 わたしの想いが、海原に白く波立つ舟の跡のように儚いものだとしたら、それに目を留めるあなたは、ささやかでも確かな愛を信じたいと思っているのではありませんか。 わたしとあのひとは言葉を交わし、互いの言葉の種を持ち帰った。愛しい思い出のように掌に乗せ、心の庭に撒いて、白い札には君の名を書く...

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2020-05-10 (Sun)

だまされる才覚

 今年のGWは連日、仕事。 小説は読めず、歌集をぱらぱら。 歌物語、一つ書いた。真季さんの夢、一度だけ見た。 ある夜、仕事から帰宅すると満月。いしいしんじの『プラネタリウムのふたご』と重松清の『ゼツメツ少年』を思い出した。 生きていくには、だまされる才覚が必要。人々に夢を見せるために、だますように言葉を紡ぐ者たちは、後ろ手に共犯の手を繋いでいる。真実を見ないために書くのではなく、きっと真実に触れたか...

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2020-05-05 (Tue)

願い事(歌物語)

 いつのことであったか、人より伝え聞いた話が心に残っており、少し形を変えて書き残す。 撫子という人がいた。彼女は気さくで交友が広く、通っていた遠方の高校からよく友だちを連れて来ていた。その中にひとり、とくに気心の知れた間柄の人がいて、愛読書から若草の君と呼ばれていた。撫子は、中学生の間に身長も口数も姉を追い越し、朗らかで物怖じしない性格であった。隣の若草の君は、小柄で一見年齢より幼い印象を与えるも...

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